教育目標

 

令和3年度 新潟市立高志中等教育学校経営基本方針

新潟市立高志中等教育学校長

コロナ禍における私たちの生活は、経済活動の停滞による生活困窮者の増加、格差拡大の顕在化、様々な制約や自粛によるストレスの増大、これまでと違った国際緊張を生み出している。一方で、ICT、AIなどの加速度的な社会への浸透、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、SDGsの実現に向けた社会合意の定着など、まさに新たな世界の枠組みが構築されつつある。
激変する社会、世界の中で、教育の在り方もグローバルスタンダードの視点が不可欠となっている。中央教育審議会は、2021年1月26日に「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して ~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」を示した。ここでは、「一人一人の児童生徒が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓き,持続可能な社会の創り手となることができるようにする」という教育の方向性が示されている。
これは、society5.0 の未来ビジョンに向けて、経済産業省が示す「未来の教室ビジョン」、文部科学省の学習指導要領など新たな教育の在り方、大学入試改革、大学の在り方そのものの変革を促すものであり、大きな教育改革の流れはさらに加速している。
OECD の示す「Education2030」では、持続可能で平和な世界構築に向けて必要なコンピテンシーとして、「新たな価値を創造する力」「対立やジレンマを克服する力」「責任ある行動をとる力」をあげている。今、求められているのは、SDGs等として示される深刻かつ喫緊の環境問題や格差拡大による貧国や労働環境問題など国際間理解や協力が求められる課題に向き合い、その解決に寄与できる人材の育成であり、AI技術、ビッグデータ解析技術の進展により産業構造や仕事の在り方の変革が急速に進み、新たな未来をデザインし、新たな社会の枠組みや技術・文化等を創出していくことのできる人材育成が急務であるということである。
「正解のない問い」に正対し,激動の社会を生き抜くために,自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,新たな価値を創造していくことが求められている。
そして,多様な価値観や立場,意見を対話によってすり合わせ平和的に合意形成し,一人一人の多様な個性・能力を生かし,それぞれの可能性を拓き、他者と協働して解決に取り組むことのできる人材の育成が求められている。
学校は,日々の教育活動を通じて,深い学び,対話的な学び,主体的な学びを生徒に促し,一人一人の生徒の自己理解と自己実現を確かなものにするとともに,社会を生き抜く資質・能力を養っていかなくてはならない。当校は、新潟市立で唯一の中等教育学校であり、新潟、日本、世界の未来を支えるリーダーとなる人材の輩出が期待されている。
このことを踏まえ,令和3年度は,全職員が生徒のよりよい学びと成長のために,教育目標「志の涵養」の実現を共通の基盤として、それぞれの考えや思いを交わし,時には熱く語り合い,議論し,ときには,柔らかに受け止め合い, 進むべき 道を定め,共に歩み,保護者や地域と協働して,学ぶ喜びに満ちた学校づくりを推進していきたい。
高志中等教育学校は,昨年度、文部科学省「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」において、アソシエイト校として指定され、新たな教育カリキュラム研究の推進や情報発信・交流の起点校として位置付けられた。また、ユネスコスクールとしても認定され、新潟市のユネスコ協会との連携も進んおり、SDGs等の課題を常に視野に入れた教育を進めていく連携ネットワークの効果的な活用を推進したい。
教育目標「志の涵養」の実現のためには、生徒が広く世界や社会を知り、己を知り、そして、その接点をとらえ、自分は何をすべきか? 自分に何ができるか? を真摯に問うことが不可欠である。そのためには、日々の教科の授業において、主体的対話的で深い学びに誘うことはもちろんであるが、総合・探究、特別活動、道徳などで、多くの人と出会い、現実と向かい合い、深く考えることが不可欠である。基礎学力と学習意欲は、にわとりと卵の関係にも似ているが、当校は、常にその両側面を意識した教育活動を創意工夫し、実践していきたい。
そして、生徒が、的確な世界認識と自己理解をもって、高い志をもち、その実現に向けて、自信と誇りをもって、学び続けることができるよう職員一丸となって取り組んでいく。


<大切にしてほしい教育観・学校観・指導観>
○ 人はよりよくなろうとする存在である。教育は,それを方向づけたり,再方向たりする営みである。
○ 多様性を大切にする。多様性から対話が生まれ,学び,成長につながる。多様性を大切には一人一人を多面的にみつめ,温かくかかわることを起点とする。
○ 間違わない力より間違いから学ぶ力を育てる。学校は間違ってもいいところである。間違いから学ぶ場である。間違いから学べる場である。生徒の間違いから教師も多くを学びたい。学び続ける人のみが学び続ける人を育てることができる。
○ 場面や情況の理解,目的と方法の整合を常に問う。常に意識し,指導したい。
○ 学習の仕方,活動の仕方など,指導すべきことは責任をもって指導し,定着を図る。
○ 発達段階に応じて,しつけることと,考えさせ見出させることがある。いずれても習慣化するには時間が必要であり、見守りつつ指導・支援を継続していく必要がある。
☆ 志の涵養は、それがなされる教育環境、土壌を整え、夢や希望を育む種をまき、温かなまなざしと的確な指導によって、実現する。


<高志中等教育学校の基盤となる学校理念>
1 教育目標
「志の涵養」 自らの知性と人間性を高め、社会に貢献しようとする人材の育成
2 高めていく資質・能力
(1) 教育理念から
自律 自分で考え、自分の意志で行動する。
互敬 互いのよさや持ち味を認め合い、尊重し合う。
(2) 育てたい生徒像から
自立 学力・気力・体力を備え、妥協せず、自己を鍛え続けることができる。
共生 多くの人とふれ合い、共感し、人や社会との望ましかかわり方を見出す
貢献 未知のことにも自分のやり方で挑戦し、未来の担い手としての自覚をもつ
3 生徒に示している学校としての教育方針
① 6年間の連続性を生かし、質と量の調和のとれた学習指導を行う。 知性
② 人とのかかわりを重視した多様な活動を計画的に組織する。 豊かな人間性
③ 体験を中心とした進路指導を6年間継続的に行う。 高い志


1 高志中等教育学校の3つのポリシー
(1) ディプロマ・ポリシー (目指す生徒像、卒業認定に値する生徒)
高い知性と豊かな人間性をもち、よりよい社会、世界の実現のために、自らの可能性を信じ、明確な目的意識をもって、様々な人々と協働しながら、困難を乗り越え、自己実現、進路実現をしていく生徒
(2) カリキュラム・ポリシー (高志中等教育学校の教育課程編制方針)
① 前期課程・後期課程の学習指導要領の内容を再構成し、6年間連続した探究学習を中核に据えた教育課程を編成・実施する。
仲間と協働しながら問題解決にあたる体験的活動(調査・実験、検討・討論、まとめ・発表等)を発達段階に応じて、各教科、領域等に位置付ける。
② 授業、家庭学習の指導において、学習内容、学習活動、家庭学習課題の量と質のバランスを検討し、自己調整学習者としての自立を促していく。
③ 各教科・領域において、シラバスと連動させて、主体性、目的意識、メタ認知、論理性、コミュニケーション力等、当校で獲得させたい資質・能力に関するルーブリックを作成し、生徒の学びと成長の履歴としてポートフォリオに集約できるようにする。
④ 生徒の自治的・主体的な活動(生徒会・学年・学級・行事・部活動等)を推進
し、よりよい学校生活の実現のための方策(目標設定・計画立案・組織運営・評価分析・討論や会議・振返り・記録等)を実践の中で具体的に指導し、学校に対する愛着と誇りを育て、社会貢献の基盤となる意志や責任、知識・技能を獲得させる。
(3) アドミッション・ポリシー (高志中等教育学校が求める人材)
新たに学ぶための読解力や情報処理のための計算力等の基礎学力、発想力、論理的思考力、コミュニケーション力の素地があり、高い志、目的意識と、新たな仲間と共に学び続け、自己を伸ばし、仲間や学校、広く社会のために貢献していこうという意慾に溢れる生徒


2 令和3年度学校運営の重点
(1) SDGs等グローカルな課題に目を向けた総合・探究学習を軸とした6年間の一貫したカリキュラムにより、高い志とアントレプレナーシップ、メタ認知、コミュニケーション力を育てる。
(2) ICT環境・機器の的確な活用を通して、モラル・リテラシーを育成し、効果的なアダプティブ学習、反転学習、個別最適化学習等を実践することで、確かな基礎学力の定着と、自己調整学習能力を育成する。
(3) ICT環境・機器の的確な活用、コンソーシアム等の関係機関連携、ユネスコスクール等のネットワーク活用を通して、生徒の自治的・主体的活動の推進によるグローカル意識や協働的な学びのための知識・技能の獲得、よさの実感を促し、質の高い自己肯定感を醸成する。
※アントレプレナーシップ 事業創造や新商品開発などに高い創造意欲を持ち、リスクに対しても積極的に挑戦していく姿勢や発想、能力などを指す企業家精神文部科学省「次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)」参照※メタ認知 認知に対する認知。自分の感じていることや行動などを、なぜ、そう感じるのか、なぜ、そのような行動をとったのか、とモニタリングすること。また、だから、どうすればよいか、こうしてみようなどとコントロールすること。
※自己調整学習能力 別紙資料参照
※グローカル意識 グローバル・国際的視野とローカル・地域的視点を兼ね備えた見方・考え方で事象の認知や把握ができる意識国際的視野で考え、地域的視点で行動しようとする態度。
※自己肯定感 自らの在り方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉であり、自尊心、自己存在感、自己効力感、自尊感情などと類似概念であり同じ様な意味で用いられる。的確な自己認識を育てる基盤となる。そのためには、根拠となる事実、価値づけなどとの関係を踏まえた指導が必要である。


3 生徒の学びと育ちのストーリー
(1) 基本的な考え方
当校の教育目標である「志の涵養」の具現化のためには、「なぜ学ぶのか?」「どのように学ぶのか?」「いかに生きるか?」という3つのことが生徒一人一人に自覚され、実践されなくてはならない。
「なぜ学ぶのか?」とは、「〇〇になりたいから」「××大学に入りたいから」という皮相的な目標では不十分である。そのことにより自らが社会や世界をどのようによりよくしていこうと考えるかという貢献の意志をもってこそ、これらの目標は学びの広がりと深まりにつながっていくのである。
「どのように学ぶか?」は、「学び方・方法知」である。思考スキル等の思考法、調査、分析、発信等の技法、ICTや思考ツールなど道具の効果的な活用、目的、対象の応じて、自分に合ったやり方を選択、実践し、修正し、よりよい学び方をアレンジ、カスタマイズして実践していく力である。
「いかに生きるか?」は、学ぶことが、自己の成長や幸せにつながっていくという実感や納得をもてるということである。自分の人生をよりよく生きることが、よりよい社会や世界の実現に寄与していくこと、これが、当校の求める「志の涵養」の目指すところであり、当校の教育は、その土台を養うものである。
したがって、当校における教育の基盤は、暗記やドリルによる基礎・基本の学習・習得ではなく、生徒の学ぶ意志や意欲、学び方の獲得を前提とした、知のネットワークの拡充を目指し、「使える知識」として構成されていくことを目指さなくてはならない。
具体的には、次の3点を重視した教育・授業を行うことである。
① 生徒の目的意識の醸成、目的意識の継続を重視する。
② 既習と未習、生徒の生活体験や実生活・実社会・学術体系と関連付けた課題設定や学習過程、学びの文脈の構成を工夫する。
③ 確認や振り返りを重視し、生徒自身が、学習内容の定着度、習熟度等の自らの学習状況をモニタリング、自覚する場面を設け、どのように改善するかを考えるメタ認知の育成に努めるとともに、学習意欲などにも留意した個別支援の方策を工夫するとともに、必要に応じて学習相談(認知カウンセリングを含む)を行い、自己調整学習者として資質・能力の育成を重視する。
(2) 教科・領域等における指導のポイント
① 教科指導のポイント
・主体的・対話的で深い学びを実現するために、6年間の学習内容を再構成したり、進度にメリハリをつけるなどして、年間2回程度の「深い学び」を目指した授業を実施する。
・生徒自身による自己評価・振り返りの場面を継続的に位置付け、生徒自身が自らの学習状況を量的・質的にとらえ、その分析を通して、自らの学習適性や多様な学び方を自覚したり、調整したりすることができるようにする。
・授業動画の視聴、配信問題の利用を含む予習・復習等家庭学習・宿題と、授業の関係を工夫し、基礎・基本の着実な定着と、個に応じて主体的・発展的な学習ができるようにする。
② 総合的な学習・探究の時間のポイント
「総合・探求」は、まずもって、社会や世界を知り、その中にいる自分たち、自分自身を知ることが基盤となる。
そして、そこに横たわる問題や課題をしっかりと理解し、その問題・課題を自分ごととして受け止め、その解決、解消、改善に向けて、何をなすべきかを考えることが、基軸とならなくてはならない。そのために、次のような学習過程を生徒の興味・関心、必要感を踏まえて工夫する。
1)「掘り起こす・知る(調査・取材、体験)・疑問・問い」
2)「課題をもつ:意味づけ、価値づけ、必要性」
3)「探究の見通しをもつ:仮説・探究プランニング」
4)「探究を進める:調査・実験・観察等:深める・広げる・関連づける・意味付ける」
5)「自分の考えをもつ・まとめる:発見・改善の方向やプランの具体化、実現に向けた見通しやアイディア、新たな問い・課題」
6)「他者に発信したり、議論したりして、よりよいものを求め続ける」
これらの学習過程が、生徒自身の学びの深まり、広がりと連動し、繰り返されるようにすることが重要である。
次のような姿の実現を目指す。
・ 現代社会等における有用性と各教科の専門性とを関連づけて、自らのテーマや探究活動の意義や内容を説明することができる。
・ 6年次において、e ポートフォリオの「主体性等」にかかる内容として、自らの興味・関心に基づき、現代的諸課題に対するテーマや課題を設定し、その探求実践について具体的な実践、さらなる課題、その解決に向けた大学進学等で
の取組、研究等の方向を記載することができる。
・ 生徒自身が確かな目的意識と自分の特性を踏まえ、的確な進路情報(大学の特色や研究実績、企業等の実績や求めている人材情報等)に基づき、進路決定し、その実現に向けて、取り組むべきことや計画を的確に設定し、実践することができる。
発達段階に応じて、次のような題材、活動を扱うこととする。
1年 新潟から日本と世界のつながりを知る。
・自分と自分の地域を紹介する。
・「新潟未来ビジョン」を学び、よりよいまちづくりの方向やそのために尽力している人に学ぶ。
・「首都東京に学ぶ」 地方と中央、日本の未来を考える。世界各地から日本で学んだり、仕事をしている人から、世界の中の日本の位置を知るともに、課題に目を向ける。大学は何を研究しているのか?
2年 日本と世界のかかわり、広く社会問題を知り、課題をとらえる。
・新潟を見つめなおす。独自の課題と日本全体の課題、世界の課題など、課題を明確にし、新潟は今、そのために何をしているのか、そのために尽力している人から学ぶ。
・平和と安全保障 沖縄から日本と世界を考える。
→ よりよい社会や世界の基盤となる「平和」について考えを深め、現代社会を見つめなおし、課題をとらえなおす。(安全、人権、経済、環境等)
・グローカルな視点からの起業プランの提案、研究課題の提案ができる。
3年 新潟を基盤として課題解決に向けたプランを考え、発信する。
・起業家プラン、大学連携研究推進を軸とした探求実践活動
・起業プラン、研究報告等の発信と、自分が取り組みたい自己課題の明確化
・自主研修、調査・研究等の保障、サポート
4年 自己課題に応じた探究・研究計画に即した探求
・チーム、グループでの協力、交流
・日本や世界での専門的な論文や研究の吟味
・専門家から学ぶ、交流する。
5年 志望理由書を書き、志望大学やそこで研究する内容など進路を明確にする。
・志望大学合格に向けた学習計画、受験長期プランの策定、自己分析や模試を活用した定期的な学習状況の確認と取組の修正をスパイラルに行っていく。
・大学入学後の研究内容についての独自調査や予備研究、関連研究などの自己学習を定期的にまとめ、発表・交流する場面を位置付ける。
→ 校内だけでなく、大学研究室や青年会議所、経済同友会等、新潟の経済・産業界の企業などと連携した課外活動を探求の学習の一環として認めていく。
・年度末までに、具体的な成果物としての論文発表、企業連携プロジェクト等のレポートなどを作成し、それらをまとめたものを 5 年間の学びの集大成として残す。
6年 進路に向けた主体的な取組
・志望理由書を書き、現在の自分と目指すものを再確認する。
・受験に向けた個別学習計画の見直し、調整を行い、模試の結果等を踏まえた自己理解や進路の調整を行う。
・オープンキャンパスなどの場面、研究室メールなどを活用し、自分の実績ややりたいことなどを、現地の大学の専門の教授等に相談するなど積極的なアプローチを工夫できる環境を整備する。
③ 自治力,自浄力を高めるための特別活動(生徒会活動、学級活動、部活動等)の推進
〇 集団における提案の仕方(議案や企画書の書き方)、検討の仕方、集団で動くための手順や関係者との連携の仕方等の基礎的指導の徹底
〇 生徒の主体的、民主的な議論の実践の推進(全校生徒委員会、学級会活動、部長会等の充実)
〇 生徒の創造的活動、挑戦的活動への意欲付け、指導と支援、活動場所や機材等の環境整備と計画的に活動が進めることができるような時間の保障
〇 広く社会や世界に発信したり、連携したりする活動場面の設定と連携・関係構築のための知識・技能の実践的指導(SDGs、ユネスコスクール等)④ 考え、議論する道徳の授業についての理解と実践
〇 自分の生活や社会、世界の動きに目を向けさせ、様々な立場や考え方のあることに気付かせるとともに、それらに対して、自分や仲間との関係を考えさせ、話し合ったり、考えを書いたりする場の設定
〇 具体的な状況を多面的にとらえさせ、そこにおける人物の具体的な言動の取り方の是非を検討する中で、言動の背後にある価値観の相違について考える道徳授業の推進と評価の工夫。
〇 現実を見つめ、よりよい在り方・理想を思い描き、そのはざまに目を向けて、問いを見出し、弱さを自覚しながら、よりよいもの求めていくことの大切さやそのための実践の在り方を考えさせる日々の働きかけの充実
○ 現代的課題、社会的課題を踏まえ、公共・倫理等と連動した価値形成、価値の深化を図る討論、省察などを重視した授業構成を工夫する。
※ コロナ禍において、フィールドワークの実施が難しい状況が想定される。しかしながら、当校の考えるフィールドワークは、視野を広げ、より専門性の高い人や優れた実践を進める起業、研究に取り組む高等教育機関等とつながり、出会い、学ぶことに主眼を置いている。実際に現地に赴くことができずとも、オンライン等を活用して、最大限の学びを得る機会を工夫してほしい。
(4) ICTの効果的な活用を工夫し、実践を重ねる。
① 個別最適化に向けた学習指導での活用
・自主学習での活用
・課題配信・動画配信による選択学習の推進
・模試の分析や振り返り、追加学習の推進
・反転授業の工夫
※ 反転授業 授業と宿題の役割を「反転」させ,授業時間外にデジタル教材等により知識習得を済ませ,教室では知識確認や問題解決学習を行う授業形態のこと。
② 自己理解を根拠をもって振返ることができるようなポートフォリオの作成
→ 自分の生活・学習、学びを俯瞰し、意味付けたり、価値づけたりする。
→ 調査書の電子化に向けた基礎データとしての記録
→ GPS アカデミック等を活用した生徒の多面的把握を重視し、GTZ、学習時間や傾向等と関連づけた分析を進め、個別最適化に向けての自己理解や生徒理解を効果的に進める。
③ 効率的な連絡、アンケート集約など、意思疎通や意見集約での活用
④ 動画等を活用した発表・発信技能の育成
⑤ 生徒自身が、学びの道具として、積極的かつ効果的に活用できるようにするための日常的な働きかけと活用実態の把握、指導を確実に行う。
※ これらの活用を進めるためには、ICT 活用環境の整備が不可欠である。物理的環境以上に、人的環境すなわち教職員の知識・リテラシー・姿勢が重要な環境となる。研修について個人任せにするのではなく、学校体制として、「誰一人取り残さない」研修体制、サポート体制を整えることが不可欠である。


3 令和3年度に向けて
(1) 名門進学校としての基盤を整える。 高志プライドの醸成
① 生徒が主体的によりよい学校づくりに参加・参画できる学校
・生徒会等による学校評価項目の策定、学校満足度(学校生活、学力向上、行事、生徒会活動、安心・安全、部活動等の指標による)
② 生徒に高い志を醸成し、その実現のための進路実現を支える学校
・大学選定における目的意識
・生徒・保護者の進路指導満足度
・各学年・科目の学推偏差値の伸び(学年・教科等で設定)
「授業改善」「生徒の学校満足度」について
・授業改善:企業・大学等との連携授業・活動の推進 協力 200 件 満足 80%
ICT活用授業:実施80% 満足度 80%
探究成果発表:実施 100% 満足度 80 %
・生徒の学校満足度 87%以上(1→ 6 95・90・85・80・85・90)
③ 生徒・保護者が納得し、社会が認める進路実績
・生徒・保護者の進路満足度
④ 保護者・生徒・地域の期待「入学志願者数」について(令和 2 ~ 4 年度)
・目標倍率2.0倍以上
(2) 発達段階に応じた学年別指導のポイント
これまで築いてきた当校の教育、検討してきた教育計画を基盤として、先に述べた基本構想の具現化を、各学年の生徒の実態に即して改善を図っていく。
1学年 現在策定されている枠組みを基盤としながらも、適宜修正を図り、よりよい自己調整学習者・社会貢献者育成のための教育の在り方を模索する。
・適応指導:学級・学年内における異文化理解と協働
・学びの基礎体力づくり:学習習慣の定着と学ぶ目的意識の醸成
・自治及び探究の基礎知識・技能の実践的習得
→ 互いの思いや願いを出し合い、望ましい集団形成に向けての目標設定ができる。目標に近づくための活動の設定ができる。活動の企画
・実践・振り返りを行い、課題を見出し、改善の方策を検討し、よりよい活動に高めていくことができる。目標達成についての評価・振り返り・改善を進めることができる。
・学ぶ目的や具体的なゴールイメージ形成に向けた多様な体験活動や大学や企業の大人との対話、交流活動の重視。
2学年 先輩として高志中等生のよりよい在り方を吟味、実践する。主体的な学び手としての自覚をもち、学習・活動など学校生活をよりよくしていく集団思考を進めるとともに、個性を伸ばし、活かすための組織やコミュニケーションの仕方を身につける。
・学びの基礎体力の確立:自分の得手不得手を理解し、自分にあった学習の方法を試行錯誤し、基礎学力の確立を図るとともに、得意分野の伸長を図る。
・新潟フィールドワーク、県外フィールドワークを通して、課題研究の基礎知識・技能を実践的に習得するとともに、志をもって生きている大人とかかわることで、実生活・実社会とかかわりながら学ぶことの意味・意義を実感させる。
・学級活動・学年活動を重視し、よりよい学校生活の在り方を考える場面を設定するとともに、評議委員会で学校全体に提言し、積極的に学校改善を図る姿勢を育てる。
3学年 自分の興味・関心、適性を踏まえ、実社会・実生活と関連づけた学習の意味や意義をとらえ、課題設定し、教科・探究等に主体的に取組み、基礎学力の一層定着と幅広い応用力を身につける。
・自学自習の姿勢を重視し、基礎学習を課題として、対話的な学びによる確認・深化の授業を中核とする。個に応じた発展学習・補充学習を適宜位置づけ、進路実現に向けた学力基盤の整備を進める。
・体育祭競技リーダー、生徒会専門委員会活動等を通して、生徒会・学校を担う貢献の意識を育てる。
・日本や世界を視野に入れ、新潟の独自性やよさ、課題を踏まえた起業プランを個人またはグループで設定し、調査活動と対話を繰り返す探究活動によりプランを考え、社会に発信し、評価してもらう。
4年生 これまでの教育活動を踏まえ、基礎学力の定着を図るとともに、新しい大学入試制度に対応した主体性等の実績を蓄積できるよう学校内外でのチャレンジ場面を推奨し、進路指導と関連付けて行う。
・大学進学を意識し、個人テーマによる課題研究を進めるとともに、個に応じた学習プランを指導・支援するとともに、発展課題や補充学習を行う。
・ SDGs活動、生徒会活動・行事活動におけるリーダーシップ、フォロワーシップの在り方を実践的に学び、個に応じた関わり方、個の活かし方を学べるようにする。
・自分の目的・テーマに即して大学や企業との連携を深め、学会、コンクールや大会等に応募し、主体的に自分のキャリアを重ねることを推奨する。
5年生 新しい大学入試制度に対応した進路指導を個に着目して進める。
・志望理由書を吟味することを通して、自分の進路について具体的な目的意識を醸成するとともに、日々の学習の目的、重点の置き方などを考え、進路実現に向けた学習プランの策定、実践ができるよう指導・支援する。
・自分の目的・テーマに即して学会、コンクールや大会等に応募し、主体的に自分のキャリアを重ねることを推奨する。
・SDGsに着目した生徒会活動の推進。自治的・主体的な生徒会活動のための組織・運営制度の確立を図る。
6年生 これまでの当校教育のよさを継承し、新しい大学入試制度に対応した進路実現に向けて個に応じた指導・支援を行う。
AO・推薦などをねらう生徒に対して早めの指導を実施し、語るべき実績を確実に持たせる指導を工夫したい。
・全校体制での進路指導を行えるよう、進路指導部を中心に、指導検討の場を適宜設定する。


<参考>
① 文部科学省「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して ~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/houkoku/1382996_00006.htm
② 経済産業省「未来の教室ビジョン」
https://www.learning-innovation.go.jp/
③ OECD「Education2030」
https://www.oecd.org/education/2030-project/about/documents/OECD-Education-2030-Position-Paper_Japanese.pdf
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/142/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2019/01/28/1412759_2.pdf
④ わくわくエンジン EXPO の講演、生徒の発表の様子
Youtube わくわくエンジンチャンネルで検索、
または、
1 日目: https://youtu.be/xmDnify1D08 植松努さんの講演、当校生徒会発表
2 日目: https://youtu.be/OY_9e3YBl6k 山口周さんの講演